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2004.03.17

怪獣と海

夏になると海を見に行きたくなる。
晴れ渡った空の下に、どこまでも青い海が広がっているのを見ているだけで、心がウキウキしてくる。
押し寄せる白い波にさわやかな潮風。
照りつける太陽の下で白い砂浜に立っていると、不機嫌でいる事は難しい。
海の向こうに思いを馳せ、沈む夕日に素直に感動し、月光を映す波の輝きに不思議な思いをして、また朝日が上る。
夏の海、春の海、冬の海、秋の海。
雨の日、曇りの日、嵐の日、凪の日。
海は様々な表情を見せる。
人の思いが海の表面だけを滑っている時、海は豊かで美しい隣人だ。

しかし、一端その思いが海の底へ、より深いところに赴く時、海は姿を変える。

海。地球の表面積の7/10を占める未知の世界。研究は進んできたものの、波の下にはいまだに人類未踏の世界が広がっている。
フェリーとか客船とか、大きな船に乗って海に出た事がおありだろうか?
甲板から波の下を覗き込んで、「この下には100メートル以上も水しかないんだなぁ」などと、高所恐怖症のような想いに囚われて足がすくんだ事がある。
もし、太平洋の真中でヨットか何かに乗ったまま、高さが5メートル以上も有るような三角波に揺られていたら、この膨大な量の水を揺り動かす力の大きさに脅威を感じるだろう。
夜の海や、日の光が届かない深海の事を想像していると、その黒い水の壁の中で何が息を潜めているのか、そちらの方向に知らず知らず考えが移っているのに気づく。

地底がそうである様に、海もまた怪獣の世界なのだ。

南極探検船「宗谷」の乗組員が見たゴジラのような怪獣。
ニュージーランド沖で日本の漁船の網にかかったニューネッシーの死体。
バーミューダの海底に無数にあるという洞窟“ブルーホール“にはジャイアントオクトパスが潜むという。
東アフリカの海でシーラカンスが発見された時、プレシオサウルスやモササウルスもまた生き残っているのではないかと想像するのは自然な事ではなかろうか?
まだ人間の目に触れた事のない未知の巨大生物が潜む場所は十分にあるのではなかろうか?
バイキングの時代の船乗りたちが見たというリバイアサンやクラーケンは、本当に伝説の生き物なのだろうか?
人間が海の事を知り尽くす日が来るまで、怪獣者はその想像を遊ばせつづける事ができる。

初めて海の側で眠りに就く時に、いつまでもいつまでも聞こえる波の音になかなか寝付かれず、夢うつつの状態で、フと遠くから太古の生物の鳴き声が波の音に混じって聞こえてきたような気がしたりする。
遠い彼方の波のうねりに目を凝らしていると、波間にちらりと巨大な生物の背びれが垣間見えたような気がする。
垂れていた釣り糸を手繰り寄せて、なにかに引っ掛けて切れてしまった時、今の重い手ごたえの主は何だったのだろうかと想像を逞しくする。

南の島に棲む怪獣も、北極の海底に潜む怪獣も、みんな海を渡ってくるのだ。
宇宙から隕石にまぎれてやってくる怪獣も、いったん海底に潜むのだ。

ガイラ、ゲゾラ、ラゴン、シーモンスにシーゴラス、ダコラー、ボスタング、ガイロス、グビラ、ゴリアス、ジグラ、アイアンロックス、リドザウルス、モグダン、クラーケン、etcetc…。

海と怪獣はとても相性がいい。

なぜなら海もまた怪獣なのだ。

巨大な力を秘め、のたうち身震いして、人間におのれの矮小さを思い知らせ、憧れや郷愁や畏怖を抱かせ、様々な想像の出発点となる未知なる魅力を持っている。

だから。
海と怪獣は同じ物なのだ。

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Comments

こんにちは!黒月あまねです。
先日コメントを書きにきたのですが、何だかメンテナンス中で消えてしまいました(;;。
なので今日の新しい記事にコメントをさせて頂きたいと思います。

海と怪獣ですが、確かに似ている所はあるかもしれませんね!
どちらも見ていると色々な想像力がかき立てられるというのが、一番の類似点かもしれません。

海を見ながらイメージを怪獣にしたりするのも面白そうですね。

Posted by: 黒月あまね | 2004.03.17 16:23

あまねちゃん、コメント第一号ッス!ありがとうございます。
昨日は昼頃(日本時間)ココログサーバーがメンテナンスしてて、そのせいでしょうねぇ<消えたの。

最後の五行だけが言いたいトコロの全て何っすけど、そこに持って行く為に長々とやっちゃう所がここの悪い癖(^^;
<つーか俺の。

いや、海は怪獣っすよ。
だって俺海好きだし。
あっしの好きな物は全て怪獣の仲間だという論法で!<コラ!
映画も小説もパソコンもCGもウチの犬もカレーライスも
みんな怪獣の仲間!<大丈夫か?

海のイメージの怪獣、きっとカッコ良くなるっすよ。
そういや魔聖とか、海の神様はいらっしゃいましたっけか?

ともかくようこそいらっしゃってくださいました。
これからもどうぞよろしく。
(ほんとに暇な時とかね)

Posted by: なだあくろう | 2004.03.17 16:56

1970年に出版された少年向けの「海をさぐる 日下実男著」を図書館からリサイクルで戴きました。1、海底火山のいかりや4、深海の国にいどむなどスリルを満喫しました。明神礁や深海潜水球など一読の価値ありますよ。もっとも子供のころ読んだョーかも知れなせんが。古くならない本もありますね。

Posted by: 杉山俊正 | 2004.11.11 20:24

ああ!凄い長い事ブログをほったらかしにしていたせいで、
コメントが付いてたのに気づかなかったぁ!(^^;
>杉山さま
あの頃出ていた本で、そういう少年少女向けの解説書なんてのは
夢があっていいですよね。
詳しく判ってない事もあってその部分を想像力で補う。
そのあたりがロマンの元になってるような気がするっすね。
いやあ、あっしも色々読んだっすよ。

Posted by: なだあくろう | 2004.11.20 01:11

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